ある日の東京ウエスト動物病院 Blog
その手術は難しいですか? - 2009年04月13日
ご訪問いただきありがとうございます。
飼い主様とのお話の中で、『その手術は難しいですか?』と質問を受けることがあります。飼い主の方にうまく理解してもらうためには、どのようにご説明したらいいだろうかと考えます。
基本的に、簡単な手術なんてないと思いますし、緊急のものを除いてはすぐその場で手術に踏み切ることはありません。手術のための前検査(診察、血液検査、レントゲン検査、心電図検査、超音波毛検査、尿検査など)を行い、踏み切れるか体調面を確認します。
一言で、『この手術は易しいですよ』とか、『簡単ですよ』、『あの手術は難しいですよ』とかはなかなか説明しずらいものです。手術には、麻酔を始め、手術の種類、その子の年齢、病態の程度や経過などなど、いくつもの要因が絡み合っているからです。そのような内容を飼い主様に説明し、了解を得て手術に踏み切ることになります。
私は、よくジャンボジェット機の操縦にたとえて説明するように心掛けています。
ジャンボは極めて高度にコンピュータ管理もされ、安全に運行できるようになっていると思います。その意味では安心・安全なフライトを楽しめるものと思います。しかし、そんなジャンボといえども100%安全というわけではありません。
嵐や台風の時などいつもと違う状況では飛行機任せ、コンピュータ任せにはできないでしょうし、そんな時こそパイロットの技量、経験が物を言うのでしょう。手術も同じだと思います。麻酔法もよくなり、手術方法、手術管理法もよくなり、今ではかなり安全に手術を行えるようになっています。でも何かが起こった時、どうするか、どう対応・処理するか、そこが重要なんでしょう。どんなにコンピューター化され、安全ですと言っても最後は人の手が大事だと思います。その意味で、難しくない手術なんてないと思います。
いつもスタッフに戒めを込めて話をすることは、当たり前にお返ししなければならない手術(去勢手術、避妊手術など)や処置(歯石除去、麻酔下での検査など)ほど、万が一のことがないように気を引き締めて事に当たらなければいけないということです。