ある日の東京ウエスト動物病院 Blog
輸血について、お知り合いの先生からの電話が・・・。 - 2008年09月21日
ご訪問いただきありがとうございます。
今回は、日常診療の中からの話題をひとつ。
先日、お知り合いの先生からほんとに久しぶりにお電話をいただ
きました。
私が以前、犬や猫の血液型や輸血の研究をしていたことを覚えて
いてくださったことでのお問い合わせだったんですけど・・・。
その輸血に関する話の概略は以下のようでした。
品種はゴールデンリトリバー、体重35Kg。大きい犬です。この子は潜在睾丸の精巣腫瘍のためエストロジェンによる造血障害がひどく出ていて、血小板数の著減、貧血、白血球数の著減があり、このような悪条件下で、潜在睾丸の摘出手術を施さなければならないというのです。
そこで問題になるのが術中・術後の出血傾向、貧血下での麻酔・手術、および術後感染症の危険性です。
骨髄の造血作用が極端に抑制され、すべての細胞群(赤血球系、白血球系、血小板系)に強い抑制がかかっているところへ麻酔や手術の侵襲が加わると、術中・術後に止血ができにくくなり、出血が止まらなくなることがあります。このような場合には、術後に死に至るリスクがあるのです。
このような時には輸血が一番です。
今のところ、皮膚に出血斑、尿が赤い、血を吐くなどの血液凝固不全の兆候は出ていないようで、その先生は輸血をしながらの手術に踏み切る決心のようでした。
そこで問題になったのが、血液型の適合性(型が合っているか)と輸血の量の設定でした。
電話でのやりとりではありましたが、
1.血液型が合っているかの適合性の問題、
2.互いの血液の相性の問題(交差適合試験)、
3.体重当たりの輸血量、
4.貧血の度合い、
5.手術の時間、手術の種類、
6.出血の度合い、
7.輸血の量や速度、
8.輸血の副作用など
について意見のやりとりをさせていただきました。
私も久しぶりに以前(若い頃?)のことを想い出しながら、懐かしさも混じっての問答をさせていただきました。