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目とカメラのよく似た構造 - 2008年05月03日

ご訪問いただきありがとうございます。

カメラは大切な私の趣味(2007年12月16日のブログ記事) の一つですが、一方で、目のことに興味を持ち始め眼科のことを扱うようになってすでに20年ほど経ちます。

目の生理学や疾病、治療などをすすめていく過程で考えてみれば(考えてみなくとも)、目の構造はカメラのそれによく似ています。どちらが優秀かというとそれはもう勝敗は決まっているようなもので、目の方が圧倒的にすぐれています。でも、カメラの方が通常では捉えられない感覚的な作品を見い出してくれることもあります(その意味ではカメラも負けていない領域があるように感じますけど・・・)。

先月〔08(平成20)年4月22日〕の『クロップ高速モード』の記事の中で、構造上も目とカメラって共に相通ずるところがあると述べましたが、今回はこれについて触れてみたいと思います。

構造や機能をわかりやすく比較してみますと、下のイラストのようで、
  目とカメラのよく似た構造 団子3兄弟

1. レンズは角膜・虹彩・水晶体という瞳部分にあたります。
光を取り込む通路であると同時にピント調節と露出(色の濃さ)の調整を行います。
ピントはレンズが前後に動いて、角膜・水晶体では厚くなったり薄くなったりして調節します。絞りは虹彩に相当します。
レンズはカメラ本体から突き出るように前部に付いていますが、瞳を構成する角膜・虹彩・水晶体も目(眼球)の前側にあり似た構造ですね。

2. 撮像素子(さつぞうそし、フィルムに相当)は網膜部分にあたります。
レンズや瞳の通路から入ってきた光を受け止める役割をします。例えるなら、宇宙の彼方を見つめるパラボラアンテナみたいなものです。実際、網膜はパラボラアンテナみたいなドーム状にへこんだ形状をしています(カメラのフィルムに相当する撮像素子もそのような形状の方がいいのかも?)。
カメラでは光刺激がイメージセンサーであるCMOS(シーモス)などの撮像素子(さつぞうそし、フィルムに相当)のところで、デジタルデータに変換され映像エンジンに送られ『絵作り』されます。
目の場合は、入ってきた(受けた)光刺激は網膜で神経刺激に変換され、脳へ伝わりそこで初めて『視認』へとつながります。

3. 映像エンジンは脳にあたります。
撮影の場合は最終的に、カメラ内の撮像素子(さつぞうそし、フィルムに相当)が受け止めたデータからカメラの設定に応じた『絵作り』を映像エンジンが行います。
脳は『絵作り』だけでなく、もっと複雑な機能を営んでいますが、光から変換された神経刺激が脳に伝わって初めて視認性が得られることを考えるとまさにカメラの『映像エンジン』にあたります。
  目とカメラのよく似た構造 団子3兄弟

なお、撮影したものをプリントすることはさながら、見た物を頭の中にイメージしたり写生のように自らの手を使い、一枚の絵としてキャンバスに描くことに類しますね。

カメラは、露出といって色の濃さを調整するために、絞り、シャッタースピード、ISO、ホワイトバランスなどを決めてあげなくてはいけません。ここのところが、カメラが馬鹿なところでもあり、かわいいとこでもあるわけですが・・・。
これが面倒と感じるか、面白いと感じるかが分かれ道なんでしょうね。
私なんかは後者の部類ですからいいんですけど、上達したいとも、鍛錬に励みたいとも思います。

ところで、目の診察は、『視力の程度』、『痛みの程度』、『外観異常の程度』の点などにポイントを置くことが多いのですが、何よりも重要なことは所見を『拡大して診る』こと(これは皮膚科にも通じますが)で、そこには、使用するレンズやカメラ器材の原理や構成を理解することは大切です。もちろん、経験も大事で、それらが相まって診断レベルの向上につながると私は思っています。

ejima_ac at 08:30 コメント( 0 )  この記事をクリップ!

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