Q:白内障手術後に、ペットの目が再び見えなくなることはありますか? - 2008年01月13日
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飼主の立場からのQuestions - 白内障手術後に、ペットの目が再び見えなくなることはありますか?
A: 日常診療でよく聞かれる質問のひとつですね。
白内障は犬やウサギには比較的多く、まれに若い猫にも(また、シニアの猫にも)見られます。
このようにペットの視力が低下したり、見えなくなった場合には、白内障手術を施し、見えるようになっても、術後経過の中であってはいけないトラブルがあったり、ほかの目の病気にかかったりすると見えなくなるリスクはあります。
飼主の方の中には、『手術直後はよく見えても、すぐ見えなくなると聞いて、心配だ』とか、『手術は簡単なんですよね』とか、中には『白内障手術という治療法があるなんて知らなかった、勧められもしなかった』という方もいます。
白内障手術が簡単な手術とは私には思えませんが、手術後にさまざまな原因で視力が充分に回復できないことはあります。
その原因には、
・眼内出血
・眼圧の上昇
・細菌性眼内炎
・硝子体出血
・網膜はく離
・水疱性角膜症
・後発白内障などがあります。
また、動物の場合にはふだんからの健康管理が行き届いていないケースで、目についても白内障を含め複数の病気が混在していることもあり、目へのダメージが予想以上にすすんでいることがあります。このような場合には、術前のケアが欠かせません。このような点を見落とすと手術のリスクが高くなってしまい、本来の視力の確保という目的を達し得ないことも起こります。前もって、必ず手を打っておくことが必要です。
どのような手術でもそうですけど、成功率が常に100%というわけにはいきません。また、このようなリスクはどこの施設でも起こりうると思われますし、また、施設間での差もあると思います。
それだけに、リスク回避の考え方や管理がしっかりしていることが大切で、白内障の進行度合、手術の適否、手術の時期の把握のほか、術後の定期的な目の検査と処置も欠かせません。
白内障手術は安全性が高く、視力回復に有効な治療法ですが、それだけに、上記のようなリスク回避の考え方をしっかり持った施設で手術を受けられることをお勧めします。
飼主の方に、白内障の正しい知識を持ってもらうことは重要です。
また、ペットの視力が回復すると、
・アイコンタクトが可能
・感情の交流が可能
・嫌なものはよけられる
・明るく、活発になり、若返ったように見えるなどよい効果がもたらされます。
愛するペットがより良い視力、視界で人生を過ごせるよう、白内障の術後の長期経過についても飼主の方に知ってもらうことは大切なことと考えています。
追)当院は今まで数多くの症例を経験し、良好な手術成績を残していますので、是非一度来院されることをお勧めします。また、手術困難な症例を担当されていて、手術に不安がある先生にも是非患者様をご紹介頂けるようお願いいたします。