ある日の東京ウエスト動物病院 Blog
全視野ERG(ElectroRetinoGram、網膜電図)検査 - 2016年11月01日
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検査に使うコンタクトレンズで、電極が埋め込まれています。
全身に血液を送り出すポンプの役割を持つ心臓の機能評価をする
のに心電図があるように、目の奥にある いわばパラボラアンテナ
の役目を担う網膜の働きを評価するのに網膜電図(ElectroRetino
Graphy、ERG)というのがあります。
全視野ERGは、心電図のように電位変化を記録して、その波形
から網膜の働きは正常かどうかを調べるもので、白内障や緑内
障の手術前に網膜機能の状態を推測し、手術の適応(手術で視
力が回復するかなど)を決めたり、白内障が進んだり、角膜が濁っていたり、硝子体に出血などがあって眼底検査ができない時にも有用です。また、網膜剥離、網膜変性症などの網膜の機能異常を発見するのにも有効です。
暗室にペットを置き(暗順応)、鎮静下、点眼麻酔下にて、電極を埋め込んだコンタクトレンズを装着します。その後、眼球内の網膜に光をフラッシュさせます。網膜と角膜の間にある電位(静止電位)に変化が生じるので、この電位変化を増幅して記録します。このようにして網膜自体の機能を評価します。
今回紹介するトイプードル(3歳、♂去勢)です。
右目は散瞳気味で全網膜はく離を起こし、左目は右に較べて縮瞳
していて対光反応は正常に見られました。
ERG検査にて網膜の機能を検査したところ、下表のように左目は
正常であることがわかり、白内障手術に進むことになりました。
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左の網膜電図は
今回の事例です。
右目は反応無し
(フラット)、
左目は反応あり
(a波、b波とも
正常にみられま
す)の結果を示し
たものです。
左目について白内
障手術に進んだ根拠はこのERG検査の結果(左目の網膜
機能は正常)にあります。
左右の目についての所見ですが、
左の写真は右目の眼底所見ですが、全網膜はく離が見られます。
いつも散瞳気味の状態です。ERGは上図のように無反応で陰性
でした。
左目は未熟白内障がみられています。
ERG検査では網膜機能は正常と判断され、それを根拠に白内障手
術に進んでいます。