ある日の東京ウエスト動物病院 Blog
1ヶ月治療しても治らない角膜の傷 - 2009年10月30日
ご訪問いただきありがとうございます。
今日、初めての方からご相談のお電話をいただきました。お知り合いの獣医師からのご紹介でした。
1ヶ月の間、目(角膜の傷)の治療をしているけど、ひどくなるばかりで治らないんですとのこと。
ショボショボして目の表面(角膜)を痛がっているようです。
・原因に思い当たる節はなく、初めての症状、
・新生血管が出ていない、
・色々な治療(自己血清点眼など)をするが、
・傷は広がるばかりで良くならない、
とのご相談でした。難治性角膜潰瘍※に入る病態と思われます。
難治性角膜潰瘍は色々な要因で起こりますが、今回のご相談の中では、次のようなことがポイントになると思います。
1.原因に思い当たる節はない
2.自力で治そうとする血管反応は出ていない
3.内科的な治療をしていても治らない、あるいは治りにくい
といった事でしょうか。
通常の単純な傷なら治るものです。
でも、そうはならないところがこの病気の特徴と言えば特徴で、中でも最大の特徴は、2.の 『自力で治そうとする血管反応は出ていない』 ということです。
このようなケースでも、中には目薬や飲み薬での治療中に新生血管が出始め、治るケースも少なからずあります。でも、多くは治りにくいようです。そのような場合には、手術に踏み切るようご説明致します。
手術に当たっては、その適応かどうかを見極めることが大切です。角膜の手術となるんですが、当院では顕微鏡下にてのマイクロサージェリーとなります。この手術の詳細は省きますが、先ず治りますよ。多くは、術後数日から1〜2週の内に治ってしまいますが、稀に、4週間ほどかかる子もいます。個体差があるようです。
なお、当院のケースで、手術をして治らなかったものはありません。
※:難治性角膜潰瘍には、今回のような上皮剥離(はくり)性と思われるもののほか、ドライアイ(神経性を含む)やシャンプーによるものなどもあります。